北海道電力 第98回 定時株主総会
共同株主提案議案 2022年3月24日 |
第1号議案 原子力に頼らないカーボンニュートラル(低炭素社会)の実現
【1、2,11議案】 定款一部変更の件
▼議案の内容
以下の章を新設する
第〇章 本社発電事業全体として炭酸ガス排出削減に寄与する。
第〇条 発電時だけでなく、発電事業全体として安全対策費やバックエンド回収を含めた炭酸ガス排出削減に寄与する。
第〇条 発電事業としてカーボンニュートラルに有用である根拠と、損益分岐試算を株主に証明する。
第〇条 プルサーマル発電、国が奨める小型モジュール発電炉などの新規設置を含むすべての原子力発電事業に依存せず、カーボンニュートラルに寄与する努力目標を掲げる。
▼提案の理由
放射能を排出するというマイナスを認めつつ、それでも尚、原子力発電事業が会社経営にとって、また消費者である北海道民、全てのステイクホルダーに対し、損失よりも利の多い事業内容であり会社が掲げる企業理念を支えることを立証する責任が求められている。
本会社は原子力発電事業が他の発電方法に比較して、発電時だけでなくバックエンド回収(廃炉や放射性廃棄物の処理)を含めても炭酸ガス排出削減に寄与することをステイクホルダーに証明する義務がある。
本会社は、原子力発電が発電事業として有用であることを示すため、損益分岐の根拠を株主に提示し、原発が他発電システムに比較して、どれほど会社とって有用な発電事業であるかを説明しなければならない。
上記について明らかにできないときは、プルサーマル、国が奨める小型モジュール発電炉などの新規設置を含むすべての原子力発電事業を中止する。
第2号議案 発電設備の点検を、第三者(社外)を含めて厳格に実施する
第〇条 発電設備点検部署に当たる人員に外部の第三者を入れて構成する
▼提案理由
泊原発は、2012年5月に3号機が停止して以来、10年以上経過している。営業運転技術の継承が10年止まっていることになる。原子力規制委員会の指導があっても機器の故障が発生している。
2018年9月に発生した胆振東部地震直後のブラックアウトで、震源から120km以上離れている泊原発は、停電によりすべての外部電源を喪い、非常用ディーゼル発電機が起動して使用済み核燃料プールの冷却を実施した。最優先で行われた外部電源の一部復旧に6時間余を要した。
2018年11月、泊発電所3号機で、点検していた非常用ディーゼル発電機B号機が起動しない事象が発生。原因は非常用ディーゼル発電機制御盤内にあるリレー端子の接続不良だった。
2019年12月、泊原発から放出している気体廃棄物の放出量を1988年以来、30年以上誤って報告していた。
2021年10月の原子力規制委の審査会合に5年前の資料を提出した。
2022年2月、藤井裕社長は、原子力規制委への説明終了時期が1年近く遅れる見通しを示し、本会社の技術やマンパワーの不足に言及した。
2022年3月2日、 泊発電所3号機 A-非常用ディーゼル発電機過給機タービン入口ケースの傷について公表した。原発が10年停まっている間に、周辺機器を含めて老朽化が進んでいることを示している。
本会社は、発電設備の点検に、外部の第三者を含めることを提案する。
第3号議案 放射性トリチウムが無害と証明できないならば、泊原発から環境に放出しない
▼提案理由
泊原発は、放射性物質トリチウムを過去25年で計570兆ベクレル海洋放出(2014年時点)してきた。本会社は、トリチウムの放出について「管理基準値を十分下回っており、健康にも環境にも影響はない」としている。これに対し、放射線の専門家は「水の形で体内に取り込まれたトリチウムは内部被ばくの原因になり、影響がないとは言い切れない」と反論している。
放射性物質に汚染された塵や水の拡散による周辺地域の大気、水又は土壌の汚染による人の健康や生活環境に対する被害は、大気汚染、水質汚濁又は土壌汚染の典型7公害に該当する。
環境基本法では、汚染者負担原則があり、公害物質排出事業者による健康被害への損害賠償を定めている。
本会社のホームページでは、100ミリシーベルト未満の放射線を受けた場合の影響について、ガンのリスクの増加を証明することは難しいとし、無害であることを証明できていない。放射能による影響には閾値は無い。どのような放射能汚染レベルでも健康被害がおきる。
「放射性トリチウムの無害を証明できないならば、泊原発から環境に放出しない」ことを提案する。
第4号議案 原子力防災を強化する あらゆる複合災害に対して複数の情報伝達手段を再確認し整えることを求める
▼提案の理由
携帯端末をはじめとする各種情報機器が普及した現在、何気なく使っているその通信手段は様々な情報通信技術や通信機器によって支えられているが、非常時に期待通りの機能を確保出来るとは限らない。
「北海道胆振東部地震」をきっかけに長時間に広範囲で大規模停電するという経験をした北海道では、無線基地局のバッテリー切れによって次々通話・通信手段を失い不安と混乱が広がった。
様々な災害や非常事態に加え原子力発電所において過酷事故が重なった場合、たとえ一時的であれ本会社および原子力発電所における連絡手段を失うことは、さらに問題を悪化させる可能性がある。
あらゆる事態に備え情報伝達手段を再確認し確実に確保することは、原子力発電所を抱える本会社としての責務と考える。
第5号議案 本社発電事業全体として炭酸ガス排出削減に寄与する
▼議案の内容
以下の章を新設する。
第〇〇章 本社発電事業全体として炭酸ガス排出削減に寄与する
第〇〇条 再エネ拡大目標と石炭火力削減目標を年度毎に定め実行する
▼提案の理由
本会社は脱炭素を進める旨定めている。その達成手段として再生可能エネルギー(以下、再エネと略)普及と石炭火力廃止を掲げているが、長期目標だけでは実効性に乏しい。
再エネも環境負荷はあり、メガソーラーやメガ風車は、緑地破壊や低周波公害などが指摘されている。急激な再エネ普及は弊害も伴う。再エネ拡大も石炭火力廃止も必要性を認めつつ、2030年までではなく2050年まで等、時間をかけて転換していくことを提案する。
石炭火力も一気に廃止はせず、まずコンバインドサイクル方式などへの高効率化を行う。再エネの非効率を克服するための蓄電装置や送電線を増強し、道民の健康や環境への負荷を最小限に抑えて徐々に再エネを主電源に転換する。原子力や石炭火力関連の雇用を徐々に再エネ関連へと移していく現実的計画を作成して脱炭素を進める。
いくら時間をかけてと言っても、10万年も隔離が必要な核ゴミを出す原発は論外である。
第6号議案 相談役,顧問の廃止
▼議案の内容
以下の章を新設する。
第12章 相談役,顧問の廃止
第50条 相談役,顧問を廃止する。(副会長,参与など役割の不透明な有償役職を設けない)
▼提案の理由
顧問、相談役等の役職は、報酬を支払いながら開示せず、役割も曖昧で、旧トップの不祥事の避難場所や院政を続ける温床となることが株主や海外投資家から疑問視されている。多くの国内企業が顧問・相談役制度を廃止している。
2018年に東京証券取引所は「上場企業が顧問や相談役の役割を開示する制度」を設けた。本年度の当社コーポレートガバナンス報告書では、相談役は置いていないが、取締役会を退任した4名が無給の名誉顧問、1名が有給の顧問となっている。有給顧問報酬の科目や金額は開示されていない。
原子力発電に関連する不祥事や、経営不振に至った責任を問われるべき人物が顧問に就いている。顧問に規定された役職と報酬額に見合った成果を上げているかは不透明である。株配当よりも優先して顧問が報酬を得ること、取締役退任後も会社運営に影響を与え続けることは甘受できない。本会社が今後、相談役や顧問を置かないことを提案する。
第7号議案 取締役員および顧問への報酬の個別開示
▼議案の内容
以下の章を新設する。
第13章 取締役員および顧問への報酬の個別開示
第51条 役員の報酬・賞与その他職務執行の対価として会社から受け取る財産上の利益は個々人別に遅滞なく公表する。
第52条 有償の顧問役(相談役等の特別な役職)に対する報酬について会計年度内に遅延なく公表する。
▼提案の理由
この議案は、第89回定時株主総会より4年連続で提案し、毎回10%を超える無視できない賛成を得、昨年の第96回定時株主総会では(最高の20.58%)を得ている。
毎年の会計報告書には役員報酬は役員の総数に対して総額でしか提示されていない。
会計はどこまでも透明化が求められる。その明細を明らかにし、株主に対して納得のいく説明を用意すべきと考える。また、公益企業である北海道電力の社会的責任の重さを鑑みれば、個々の役員報酬や有償の顧問役など特別な役職の報酬を開示すべきである。
経営上の悪化を理由にここ数年、株主配当が無配または、5~10円程度の低い配当が続いている。役員報酬は、経営状況に応じて決めるべきものである。経営不振が続く状況下においても役員には少なからぬ金額が支給されている。無配・低額配当を甘受し続けている一株主の立場として、経営責任のある役員及び顧問役それぞれの報酬の開示を求める。
※ここに掲載した提案議案は、4月下旬の北電への議決権行使時に、内容の主旨を変えない範囲で字句の修正をすることがあります。また、北電とのやり取りの中で、いくつかの議案を取り下げる場合もあります。予めご了承ください。 |