北電への質問書 20220613

第98回北海道電力定時株主総会 マシオン事前質問

 

北海道電力株式会社 御中              2022年6月13日

北海道電力株式会社 代表取締役社長 藤井 裕 殿

株主 マシオン恵美香

住所 ***************

【第98回定時株主総会前の事前質問】

 

<会計に関する質問>

質問1 渇水準備引当金について、渇水による損失に備えるために計上されているものと説明されていますが、そのほかの支出に対して流用される際、どのようなケースに対して判断されますか。近年の利用実績や判断基準などを教えてください。

 

質問2 自己資本比率について

ほくでんネットワーク(北海道電力・北海道電力ネットワーク)現在の自己資本比率に対する自社の評価について、どのように考えますか。また、本年度はどの程度を目指していますか。2020年あたりでは15%を目標するとしていました。この目標は国内企業の標準と比較して妥当ですか。

 

<泊原発の安全対策費・維持費・核燃料について>

質問3―1 : 国(原子力規制委員会)から求められている安全対策は特重施設や防潮堤など工事が中断したまま、完了していないものがあると報じられました。2022年度は防潮壁撤去費用に、具体的にはどの程度の支出が見込まれていますか。また、その工事はいつ終了しますか?

質問3-2 : 防潮壁への新たなる安全措置がないままに、津波や大地震等の災害に見舞われた場合、どのように被害範囲や対処費用が見込まれていますか? 対策内容ごとに想定される費用の額を教えてください。

質問3-3 : 泊原発が停止中にも事故を起こした際にも、住民への損害賠償責任が問われます。本会社では、どのような保険で周辺住民への有事の際の賠償を行う用意をしていますか。また、その賠償責任範囲や額を、誰がどのように決めることとなっていますか。

質問3-4 : 本年度(2022年)は泊原発の安全対策全体についてどのような計画をしていますか。

また、泊原発の安全対策費と維持費は総額いくらを予定していますか。

 

質問4-1 核燃料資産に関する質問

泊原発は10年以上も稼働していないため、核燃料を使用しない状態により在庫(核燃料資産)がダブついています。このため、「購入を見合わせるなど調達の調整が必要」と、会社も過去の株主総会で認めています。長期の分割買い付けで固定的に資産としての核燃料を増やし続け、経営を圧迫していると思われます。

本年度会計報告でも核燃資産は増加しており、在庫量の調整がされたようには見えません。

増加分の額はいくらで、どういう理由からですか?

 

質問4-2 本会社の総資産に対し、核燃料資産が占める割合について本年度報告では何%と算出されますか。

会社として妥当な割合はどの程度であるべきと決めていますか。

また、現在、泊発電所の固定資産額が占める割合は、本会社の総資産の何%にあたりますか。

 

 

質問5-1 : 維持費・コストに関する質問

昨年の時点で、1kW/hあたりの発電コストは何円を算出しているかを尋ねたところ、会社は「計算できない」などという、電力消費者や株主などすべてのステイクホルダーに対して無責任な回答をしただけでした。

泊原発の耐用年数は期限が近づいています。期限内での回収は可能ですか?

 

質問5-2 :廃炉費用

現時点では、泊原発1から3号機に投資額や廃炉に宛てる費用収支は、何年先まで見通しをされていますか?

 

質問5-3 : 事業成立の根拠・損益分岐について

昨年、「設置時ではなく、現在の時点では損益分岐はいくらか」と尋ねたところ、会社は「試算できず、拠って、その根拠も示せない」としました。発電事業として回収可能性の根拠も示せないのに、株主が安心して投資をし続けると考える予測は妥当ですか。大株主も、事業として成立する可能性が示されない原発の存在について、見通しを示すよう望んでいるのではありありませんか?

 

質問6 送配電システムへの対策と投資

2018年のブラックアウトを経験し、どれほど立派な発電システムで巨大出力を発電する能力があっても、送配電されなければ、広域停電が起こると分かりました。点検設備への関連支出を含め、送配電事業の安定化を図るために本年度、新たに行われる予定の対策や、費用はありますか?

 

質問7 規制委員会新規性基準適合に係る質問

5月27日の会合で問われている「基準津波策定」までの検討方針、震源を特定せず策定する地震動、標準応答スペクトルに基づく模擬地震波について示すために、会社は現在までにどのようなことをしていますか。また、今後の予定を示してください。

 

質問8 事業判断内容に対する取締役の責任

泊原発に原子力事故が起こった場合やブラックアウトなどの影響・被害について、取締役および監査役の社会的責任が、ステイクホルダーのすべてから問われるのは当然です。

本会社として「社内規定での責任免除規定」を廃止すべきではありませんか。

 

質問9 災害等に対する回復力・復元力

昨年、会社はレジリエンス(災害等に対する回復力・復元力)の向上についてアナウンスしました。2018年のブラックアウトの経験から配送電の知見で、このような言葉遣いをされていると察しますが、泊原発周辺で直下型地震が起こっていたら、巨大発電設備の喪失と共に起る送配電の不具合のほか、原子力事故に関する措置や対策をしなければならない状況に陥るかもしれません。また、本年ロシアがウクライナの原発を占拠、攻撃したケースのように、戦時下では、原発建屋の存在そのものが国際安全保障上も脅威となります。

レジリエンス向上のための「災害時連携計画」を綿密に練ることは必要ですが、原発を保持していると復元は難しくなるのではありませんか?

万が一、原発事故が起こった場合の復元は電力供給のほかに、何をどの程度する見通しができていますか。

 

以上