2016年共同株主提案

第A号議案 定款一部変更の件

▼議案の内容

「第1章 総則」第2条に以下の第2項を追加する。

2 本会社は、原子力発電事業を放射性物質の安全保管及び廃炉部門に移行する。

 

▼提案の理由

本会社は2012年5月以来4年間、原子力発電無しで経営を続けることができた。2011.3の東電福島原発事故により、原発安全神話は嘘偽りであったことが明らかになった。原子力規制委員会委員長は、新規制基準に合格しても、安全であるとは言えないと明言している。万一、泊発電所が過酷事故を起こした時、北海道は人の住めない廃墟の地となり、本会社も存立できない事態に陥る。そのような道民の生存権を踏みにじる原発を稼働させることは倫理上許されない。

電力小売自由化により北電の顧客離れはさらに進むと思われ、昨今の電力需要動向の上からも、経営リスクの高い原発に依存する必要はなくなった。

翻って、既に生み出された使用済燃料等放射性物質の安全保管、及び原発廃炉に関するノウハウは、今後ますます社会的意義と需要を増すと思われる。以上の理由から、本会社の原子力事業を原発廃炉部門へ移行することを提案する。

 

 

第B号議案 定款一部変更の件

▼議案の内容

「第1章 総則」に以下の条文を追加する。

(原子力事業者としての社会的責任)

第3条 本会社は、泊発電所で発生した全ての放射性物質、特に使用済燃料の安全な保管に全責任を負う。

また、原子力発電事業を行うに当たって、本会社は、万一の事故の際、泊発電所周辺地域の全住民・滞在者及び該当地域で救難・救助活動に携わる防災関連業務従事者(以下、「周辺地域の人々」)と従業員の、平常時を超える被曝に全責任を負う。周辺地域の人々に対し、有事の際、内部被曝を含めて年間に自然放射線プラス1mSvを超える被曝をさせる危険がある限り、本会社は泊発電所の原子炉を起動しない。

(上記第3条の新設に伴い、現行定款第3条を第4条とし、以下を順次1条ずつ繰り下げる)

 

 

▼提案の理由

万一にも過酷事故に至らぬ様、本会社は購入した核燃料及び泊発電所稼働で発生した使用済燃料等放射性物質を安全に保管する義務がある。

営利事業で放射性物質を生みだしてきた本会社には、原発事故による人々の健康及び財産への被害を防ぐ社会的責任があり、特に命と健康への責任は重大である。

泊発電所に放射性物質が存在する限りこの義務と責任は無くならない。現在、北海道原子力防災訓練では、泊で起動中の原子炉内物質が一部漏えいする事態のみ想定され、汚染を受けるとされる地域も30㎞圏内に限られている。だが、泊発電所に約400トンの使用済燃料が存在する今、燃料プールの万一の破損・冷却水漏れによる大規模な放射性物質漏えいに備えなければならない。こうした場合、避難区域が250㎞圏に及ぶ危険があると、近藤駿介元原子力委員会委員長も認めた。よって、有事の際250㎞圏内にいる全ての人々の被曝に、本会社は責任を負うべきである。

 

 

第C号議案 定款一部変更の件

▼議案の内容

以下の章を新設する。

第8章「使用済核燃料再処理事業者との契約の破棄と高レベル放射性廃液の安全管理技術の開発」

第47条 本会社は、核燃料再処理事業者との契約を破棄する。

第48条 本会社は、日本原燃に支払った前払い金、積立金、出資金の返還を求め、これまで再処理により発生した高レベル放射性廃液の安全管理技術の開発のために充当する。

 

▼提案の理由

本会社は再処理契約を六ヶ所再処理工場と結んでいるが、長期間に渡り、処理工程の不具合続きで安定して稼働していないため、契約内容が正しく履行されているとは認めがたい。

再処理の過程で生じる高レベル放射性廃液はガラス固化し、管理貯蔵することとなっていたが、ガラス固化施設の事故・故障により廃液のまま放置されている。

放射性廃液は常に冷却することが必要だが、大地震・大津波などで電源や冷却が途絶すれば、最悪の場合、福島第一原発4号機の使用済核燃料プール以上の危機に至り、北海道を含む日本全域の住民が避難の対象となり得る。

現在、六ヶ所再処理工場には9電力会社分の放射性廃液が約223立方メートル貯蔵されており、その一部は本会社の分である。今後は、これ以上の再処理契約を破棄し、再処理に掛かる費用を高レベル放射性廃液の安全管理技術の開発に充てることとする。

 

 

第F号議案 定款一部変更の件

▼議案の内容

「第5章 監査役及び監査役会」に以下の条文を追加する。

(監査役の実効性確保)

第39条監査役の業務の実効性を高めるため権限を強化する。また、監査役の責任を下記の通り明記する。

(1)特段の場合を除き、監査役は長期間の連続無配を回避するための建設的な意見・案等を、取締役会において提示する。

(2)監査役は、財務・会計に関して、迅速さと適切な判断を本会社に求め、求めた事項については株主総会において公表する。

(3)監査役は、株主提案議案に対する取締役会の意見に対し、監査役の講評を総会において株主に公表する。

(4)主要株主と株主以外のステークホルダーからの懸念意見に対し、監査役の対応意見を総会において公表する。

上記39条の追加に伴い、現行定款39条を第40条とし、以下を順次1条ずつ繰り下げる。

 

▼提案の理由

監査役の業務の実効性を高めるため権限を強化する。

監査役は、独立した客観的立場から実効性の高い監査を行うと同時に、能動的・積極的に権限を行使する事が求められている。

また、監査役自らの守備範囲を過度に狭く捉える事無く、株主に対する受託者責任を認識しなければならない。

このため、連続無配を回避し、会社、株主共同の利益向上の発言・行動を執る。

一方、監査役は、財務・会計に関して迅速さと適切な判断を本会社に求める。更に、株主総会での株主提案に対して審議時間を十分に確保し監査役の発言機会を設ける。また、株主総会での株主提案議案に対し監査役自身が明確な説明を行う。

監査役業務の独立性を基に、主要株主の意向ばかりに影響される事なく、全てのステークホルダーと適切に協働し、対応しているか否かを評価・確認する。

上記より、監査役が会社及び株主の提案議案に対する最終確認者である事を株主総会において株主に表明する。

 

 

第G号議案

▼議案の内容

以下の章を新設する。

第9章 役員報酬の個別開示

第49条 役員の報酬・賞与その他職務執行の対価として会社から受け取る財産上の利益は個々人別に遅滞なく公表する。

 

▼提案の理由

この議案は、第89回定時株主総会より4年連続で提案しており、毎回高い賛同(最高19.64%)を得ている。

株主総会において、役員報酬は毎年、役員の総数に対して総額での金額しか提示されていない。会計はどこまでも透明化が求められる。その明細を明らかにし、株主に対して納得のいく説明を用意すべきと考える。また、北海道電力という会社の社会的責任の重さを鑑みれば、個々の役員報酬を開示すべきである。

さらに、昨年度まで、経営上の悪化を理由に株主配当が3期連続無配となっている。

役員報酬は、経営状況に応じて決めるべきものである。この状況下において、減額・減員されたとはいえ、役員には少なからぬ金額が支給されていると考える。連続無配を甘受している一株主の立場として、経営責任のある役員の報酬の開示を求めることは否定されるべきものではない。

 

第H号議案 定款一部変更の件

▼議案の内容

以下の章を新設する。

第10章 株主総会におけるプレゼンテーションツールの使用について

第50条 株主総会における共同株主提案の提案理由説明に際し、必要に応じてプレゼンテーションツールの使用を認める。

 

▼提案の理由

株主総会において会社側の「報告事項」の説明にプロジェクター等のプレゼンテーションツール(以後はプレゼンツール)を使用しています。説明を受ける方としては、図表、グラフを用いており分かりやすいと感じております。

共同株主提案の理由は、株主総会招集通知の中に400文字以内で記述していますが、説明するには不十分な文字数です。昨年、北電総務部に株主総会における共同株主提案の説明にプレゼンツールの利用を申し入れましたが、「決議事項」にはプレゼンツールを使用していないので、要望に応じられないとの回答でした。

一般的に言葉というものは、聞く人の個々のイメージで解釈されがちです。課題の解決にあたっては、図表・グラフを用いてイメージを共有することが大切と考えます。

近年は国会においてもパネルを利用した質疑が定着しており、良いものを取り入れていく姿勢が大切と考えます。